タイトル |
The effect of exposure to radiofrequency fields on cancer risk in the general and working population: A systematic review of human observational studies – Part I: Most researched outcomes
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日本語タイトル |
一般および労働者集団における高周波電磁界へのばく露ががんリスクに及ぼす影響:ヒト観察研究の系統的レビュー - パートI:最も研究されたアウトカム
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著者 |
Karipidis K, Baaken D, Loney T, Blettner M, Brzozek C, Elwood M, Narh C, Orsini N, Röösli M, Paulo MS, Lagorio S
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所属 |
Australian Radiation Protection and Nuclear Safety Agency (ARPANSA)
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資料区分 |
論文
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雑誌名 |
Environ Int
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文献区分 |
総説
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発表年 |
2024
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周波数区分 |
高周波(300kHz-30GHz)
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巻/ISSN(号):ページ |
191: article ID 108983
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研究区分 |
疫学研究
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国 |
Australia
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PubMed ID |
39241333
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論文情報入手日 |
2024-09-01
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DOI |
doi:10.1016/j.envint.2024.108983
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キーワード |
Acoustic neuroma; Base stations; Brain cancer; Broadcast transmitters; Case-control studies; Childhood cancer; Cohort studies; Cordless phones; Epidemiology; Glioma; Leukaemia; Meningioma; Mobile phones; Neoplasms; Occupational exposure; Pituitary tumours; Radiofrequency electromagnetic fields; Salivary gland tumours; Systematic review.
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概要 |
このレビュー論文の著者らは、高周波(RF)電磁界ばく露と最も調査された腫瘍性疾患のリスクとの因果関係に関する、ヒト観察研究によるエビデンスの質と強さを評価した。適格基準として、RFへの3種類のばく露に関連する腫瘍リスクに関するコホートおよび症例対照研究を含めた。近傍界でのワイヤレス電話使用による頭部局所ばく露(SR-A)、遠方界での固定送信設備からの全身の環境ばく露(SR-B)、および職場でのハンドヘルドトランシーバーやRF放射機器の使用による近傍界/遠方界の職業ばく露(SR-C)を対象とした。腫瘍の種類に制限は設けず、中枢神経系の「重要な」腫瘍(脳、髄膜、下垂体、聴神経)および唾液腺腫瘍(SR-A)、脳腫瘍および白血病(SR-B、SR-C)の発症率に基づく研究に焦点を当てた。特定のばく露源と特定の腫瘍の関連(E-Oペア)に関する調査に注力し、1つの論文が複数のE-Oペアに取り組む場合があることに留意した。適格な研究は、Medline、Embase、およびEMF-Portalを通じた文献検索により特定した。バイアスのリスク(RoB)評価には、米国国家毒性プログラム・健康評価解釈局(NTP-OHAT)の「ヒトおよび動物研究に対する格付けツール」のカスタマイズ版を用いて、各研究の内部妥当性を評価した。まとめたRoB評価では、全体的なバイアスの可能性に応じて、研究を低、中、高の3つのレベルに分類した。無作為効果制約最尤法(REML)モデルを用いて、全体およびサブグループのメタ分析を行い(二値およびカテゴリのばく露変数)、生涯ばく露強度の量反応メタ分析には加重混合効果モデルを用いた。エビデンスの評価には、勧告、評価、開発、および評価(GRADE)アプローチを用いた。その結果、1994年から2022年に発表された63報の病因論文を対象とし、22カ国からの参加者を含み、119の異なるE-Oペアについての報告が確認された。携帯電話からのRFばく露(過去の使用または定常的使用vs.非使用または非定常的使用)は、神経膠腫(相対リスク(RR)のメタ推定値(mRR)=1.01、95%信頼区間(CI)=0.89-1.13)、髄膜腫(mRR=0.92、95% CI=0.82-1.02)、聴神経腫瘍(mRR=1.03、95% CI=0.85-1.24)、下垂体腫瘍(mRR=0.81、95% CI=0.61-1.06)、唾液腺腫瘍(mRR=0.91、95% CI=0.78-1.06)のリスク上昇と関連しなかった。また、小児、青年および若年成人の脳腫瘍(mRR=1.06、95% CI=0.74-1.51)と、研究間の異質性の度合いが異なる(I2=0%-62%)。携帯電話の使用開始以降の時間(TSS)、累積通話時間(CCT)、累積通話数(CNC)に応じたmRRの増加は観察されなかった。コードレス電話の使用は、神経膠腫(mRR=1.04、95% CI=0.74-1.46; I2=74%)、髄膜腫(mRR=0.91、95% CI=0.70-1.18; I2=59%)、または聴神経腫瘍(mRR=1.16; 95% CI=0.83-1.61; I2=63%)のリスクと有意に関連しなかった。固定送信設備(放送アンテナや基地局)からのばく露は、小児白血病や小児脳腫瘍リスクとは関連しておらず、モデル化されたRFばく露のレベルとは無関係であった。職業的RFばく露後の神経膠腫リスクは有意に増加せず、モデル化された累積ばく露レベルの増加カテゴリー間の差異も検出されなかった。発表されたプロトコルと一致して、最終的な結論はばく露-結果(E-O)の組み合わせごとに個別に定式化され、主に最も信頼度の高いエビデンスの線に基づいており、ドシメトリ研究から推定されたばく露レベル別のRF波源のランク付け、および時間傾向シミュレーション研究の結果との外的整合性(携帯電話使用に関連する神経膠腫に限定)を考慮した。携帯電話使用による頭部への近傍界ばく露については、大人の神経膠腫、髄膜腫、聴神経腫瘍、下垂体腫瘍および唾液腺腫瘍、小児脳腫瘍のリスクが増加しない可能性が高いとする中程度の確かさのエビデンスが得られた。コードレス電話使用による近傍界RFばく露については、神経膠腫、髄膜腫、聴神経腫瘍のリスクが増加しない可能性があるという確かさの低いエビデンスが得られた。固定送信設備(放送アンテナや基地局)からの全身遠方界RFばく露については、小児白血病リスクが増加しない可能性が高いとする中程度の確かさのエビデンス、および小児脳腫瘍リスクが増加しない可能性があるとする確傘の低いエビデンスが得られた。固定送信設備からのRFばく露と成人の重要な腫瘍を調査した研究は適格ではなかった。職業ばく露について、脳腫瘍/神経膠腫のリスクが増加しない可能性があるという確かさの低いエビデンスが得られたが、SR-Cの2番目の重要な結果である白血病に関する研究は含まれていなかった、と著者らは報告している。
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